外科と代謝・栄養
Online ISSN : 2187-5154
Print ISSN : 0389-5564
ISSN-L : 0389-5564
特集「腸管リハビリテーションUpdate」
腸管順応促進ホルモン−ペプチド成長因子を用いた 短腸症候群の治療について
武藤 充加治 建矢野 圭輔大西 峻山田 和歌Lim DW長野 綾香松井 まゆ松久保 眞Turner JMWales PW家入 里志
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 54 巻 6 号 p. 229-233

詳細
抄録

 本稿では短腸症候群に焦点をあて, ペプチド成長因子を用いた残存腸管順応誘導について最近の知見を報告する. われわれは, ghrelin, glucagon‐like peptide‐2 (GLP‐2), epidermal growth factor(EGF)に注目している. Ghrelin投与は完全静脈栄養管理中の腸管粘膜委縮を抑制し, 吸収面積拡張にも寄与することが分かった. GLP‐2治療は, 腸切除後早期に行うとより効果的であると推測された. GLP‐2とEGFは相乗して粘膜透過性を抑制し, 腸管バリア機能強化に寄与することが分かった. 現在臨床応用されているペプチド成長因子はGLP‐2 analogのみであるが, さらに複数を組み合わせることで, より効果的に残存腸管順応を推進することが可能かもしれない. Ghrelin, EGFはその候補としてあげられる. これら因子の至適組み合わせ, 適正な投与タイミング, 量などに関する検討は今後の課題である.

著者関連情報
© 2020 日本外科代謝栄養学会
前の記事 次の記事
feedback
Top