磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

赤ん坊をおそう放射能 ●ヒロシマからスリーマイルまで

2006年08月04日 | 読書日記など
『赤ん坊をおそう放射能
   ●ヒロシマからスリーマイルまで』
     E.J.スターングラス(著)/
       反原発科学者連合(訳)/新泉社1982年

他国でひどいことをやって、利益を得た国は、
本国でもやりはじめるという。
この本はチェルノブイリ事故が起きる前ですね。



レントゲンの影響の影響からも、放射能の怖さは理解できるかと思います。下「」引用。

「この研究では、アメリカの北東部にらある大病院で一九四七年から一九五四年の間に出産した七○万人の母親について、大切に保存されていた病院のカルテが利用された。マクマホン博士は、エックス線を一回以上受けた七万人の母親から生まれた子どもたちのガン発生率を妊娠中エックス線を受けなかった残り六三万人の母親からの子どもたち比較した。
 一九六二年に公表された博士の研究成果はスチュアート博士の研究結果を完全に確証した。生まれる前にエックス線を浴びた子どもの発ガンの危険率は著しく増加していた。特に重要なことは、その危険率がエックス線撮影の回数と共に増えていたことである。」

ワレン博士という権威者はとんでもない証言したという。下「」引用。

「国立科学アカデミーの「放射線の生物学的影響に関する諮問委員会」の代表であるシールズ・ワレン博士の証言で始まった。ワレン博士は原子力委員会の生物医療部門の初代部長を務め、その死の灰の健康への影響に関する初期の研究と計画全般に責任を負っていた。彼は、国連科学委員会放射線影響部会のアメリカ代表の団長でもあった。ワレン博士の証言は、人間の動植物に対する放射線の影響を概観することから始まった。彼の示した表に載っていた最低線量は○・○○一ラド、つまり一ミリラドで、その次の○・○一ラドの項には放射線の「影響は現われない」と記されていた。その次の一・○ラドの項にも「影響は現れない」との説明がつけてあった。スチュアートとマクマホンの研究によれば、妊娠中に一・○ラドを浴びると小児白血病や小児ガンによる死亡率が五○パーセント増加するという明白な影響が現れているのに、ワレン博士はこれを受け入れようとしなかった。」


保健局のデータ改ざんや、テレビ報道にも当局が圧力をかけてきたという。

低レベルの放射線の長期間の照射の有害さも書かれてありました。下「」引用。

「かくてヒロシマにおけるような--あるいは低レベル医療用エックス線のときでもそうなのだが--短時間の照射とは対照的な、非常に低レベルの長時間照射によって引き起こされる作用に関する現在のすべての仮定が、突然根底からゆり動かされた。長時間にわたる照射、いいかえればずっと穏やかな照射は短く激しい照射よりも害が少ないというのではなく、それがあべこべでありうるいくつかの条件があることが分かった。すなわち、酸素を含んでいる生物学的細胞にとっては、低レベルで定率の照射の方が、高率で、いいかえれば非常に短時間内に与えられた同量の照射よりもより有害であった。」

そしてスリーマイル島事故後に急増したことも書かれてあります。下「」引用。

「それでも私は、集められた資料は何でも一刻でも早く集めようと決めた。というのも、スリーマイル島事故による健康への重大な影響は何もないのだと公衆に信じさせようと、原子力産業がマスコミによる大宣伝を開始していたからである。日く、誰も死ななかった、負傷した人は一人もいない、安全装置が働いた、アメリカが不安定に中東からの石油輸出にどっぷりと依存しているときに、この貴重なエネルギー源を放棄する理由はない、等々。
 八月中旬、アメリカ保健統計センターから五月のデータが載っている最新号の月間報告が図書館に到着した。一○○○人出生あたりの乳児死亡数を計算してみると、私の予想通りの結果になった。ペンシルベニア州の乳児死亡数は、三月末の事故後、冬の高い数値から減らずに逆に増えている。」

『ニューヨーク・タイムズ』も、きちんとデータをあげなかったという。下「」引用。

「保健局の発表も「ニューヨーク・タイムズ」の記事も、事故のあった原発から八キロメートル圏の住民に関する統計ばかりか、事故前の同一月の統計も載せなかった。」

Index

そして組織犯罪はいつでもそうですが、真面目な人たちに不幸がゆきます。下「」引用。

「皮肉にも、マクロード博士が局長の椅子を失ったのは、彼が率直に公表しようとしたからかも知れない。」


チェルノブイリで何が起きるかというのもすぐに理解できたことでしょうね。下「」引用。

「本書全体に通して暴露されているように、低線量放射線はとりわけ赤ん坊に深刻な影響を与える。これはきわめて重大な問題である。急速に細胞分裂を行いつつ成長している胎児・乳児においては、細胞の小さな障害が拡大され増幅された形で器官の障害や機能障害となって現れる。したがって、赤ん坊の場合にはたとえ低線量の放射線被爆であっても成人の場合よりも一層重大な結果を引き起こす。さらに、重要なことは、胎児・乳児期の被曝が乳児死亡や小児ガンにとどまらず、免疫・ホルモンの異常の発達異常等によって体力・知力の発達不全をもたらすこと、また、後世代へとひきつがれて行く生殖細胞の遺伝子の異常を引き起こし代謝異常等の遺伝的障害をもたらすことである。」


しかし、いつもの手を使ったのですよ。
あのチェルノブイリでもね。

レーガン政権はそしてスターウオーズ計画さえたてていたという。下「」引用。

「今日、米レーガン政権は、たとえば核戦争が起こっても国民は生き残れると宣伝し、「限定核戦争」の準備と先制第一撃能力の獲得を追求している。」


多くの科学者が、人類は生存できなくなるだろうと言われていますね。

この本の前半部分(1章~14章)は『死にすぎた赤ん坊」(肥田舜太郎訳 時事通信社)として翻訳出版されているそうです。



『死にすぎた赤ん坊-低レベル放射線の恐怖-』
    E・J・スターングラス・著/
      肥田舜太郎・訳/時事通信社1978年



1960年代には「死の灰」による乳幼児などの甲状腺への影響が理解されていたようです。下「」引用。

「しかし、ミシガン大学が一九六○年に発表した一連の研究の結果は、さらに重要である。「これらの研究は、胎児及び乳幼児の甲状腺への放射線の線量は、小さな甲状腺の中でより大きな集中が起こるため、成人の甲状腺に対する線量より一○倍も大きいことを示した」。」

日本はシベリアの核実験からの「死の灰」の影響もあったという。下「」引用。

「日本公衆衛生学会の公衆衛生学者と統計学者がまとめた日本の資料は特に重要であった。何故なら、日本は広島と長崎の原爆による死の灰に被曝しただけでなく、アメリカの太平洋での核実験と、ソ連のシベリアでの核実験による放射能灰をも受けていたからである。」

何が平和の勢力の武器は、平和の武器だ!

“死の灰のパターン”と死の地図は合致するという。下「」引用。

「一九四五年から一九五五年の間にみられた、白血病と乳幼児死亡率の世界的規模での地理的な変化のパターンは、“死の灰のパターン”に明らかに一致していた。」

胎児の影響……。下「」引用。

「そして半減期の短い放射性同位元素は、半減期の長いストロンチウム90とともに、たちまちミルクや食料品の中に入り込み、母親の子宮の中の胎児の体内にやすやすと到達したのである。」


裏表紙に書かれてあります。下「」引用。

「1953年4月、ニューヨーク州北部のトロイ地区で降った集中豪雨のあと、飲料水などから計測された異常に高い放射能…。その2日前、ネバダ実験場では、アメリカ原子力委員会によって“サイモン”原爆実験がおこなわれていた。高さ4万フィートに達する巨大なきのこ雲がもたらしたものは何だったのか? しかし、詳細な調査報告は秘密書類として扱われ、一般大衆に知らされることはなかった。

1963年8月、死の灰の危険性をめぐる大衆の不安と関心は高まり、アメリカ議会はついに、両院合同原子力委員会で、低レベル放射線の影響に関する公聴会を開くに至った。そして、忘れられていたトロイの豪雨による放射能汚染事件は、再び登場することになった。
核実験の死の灰が、それが降下した都市や農村の乳幼児と胎児の死亡率を確実に上昇させていることに着眼、研究をつづけていたスターングラス博士は、公聴会の証人として呼ばれる。激しい論争がやりとりされ、恐るべき重大な事実が、次々と明らかにされた。」




目 次







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。