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消防本部ワクチン未接種者隔離 非常時こそ人権に配慮を=村瀬優子(英文毎日室・前近江八幡通信部)

ワクチン接種を受けなかった女性職員が一人で勤務させられた廊下脇の協議スペース=甲賀広域行政組合消防本部で2023年6月、村瀬優子撮影
ワクチン接種を受けなかった女性職員が一人で勤務させられた廊下脇の協議スペース=甲賀広域行政組合消防本部で2023年6月、村瀬優子撮影

 滋賀県の甲賀広域行政組合消防本部(甲賀市)で、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けなかった女性職員が「接種拒否者」として、廊下脇で勤務させられた問題を取材してきた。報道を受けて組合が設置した第三者委員会は3月、本部の対応をハラスメントだったとする報告書をまとめ、停職処分を受けた消防長が依願退職する事態となった。コロナ禍での人権侵害はなぜ止められなかったのか。

 「ワクチン接種拒否者への業務区別について」。2021年5月、全職員に向けて出された消防長名の内部文書の表題だ。文書では副反応への不安から接種を辞退した警防課の女性職員に対し、感染防止対策として全職員との接触を制限する旨が記されていた。女性の氏名こそ出していないが、本部4階の廊下脇にある協議スペースで執務させるなどの「業務区別」の内容が示されており、容易に個人が特定できる内容だった。

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