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通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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 通学や仕事をしながら家族を介護している15~19歳の子どもが、2017年時点で全国に推計3万7100人いることがわかった。毎日新聞が国の統計を独自に分析した。うち1万2700人は週4日以上介護していた。こうした子どもはヤングケアラーと呼ばれ、負担が過度になれば心身や学校生活・進路に影響が出るとされる。支援を受けられず周囲から孤立する深刻なケースも目立つ。

ヤングケアラーだった男性が就職活動の準備として手帳に書いたメモ。「自分が何が好きで、何ができるのかを考える時間が周りより圧倒的に少なかったな、と」=東京都千代田区で、小川昌宏撮影
ヤングケアラーだった男性が就職活動の準備として手帳に書いたメモ。「自分が何が好きで、何ができるのかを考える時間が周りより圧倒的に少なかったな、と」=東京都千代田区で、小川昌宏撮影

国が初調査 1学級に1~2人

 政府は、2020年12月~21年1月に全国の教育現場に対する初の実態調査を実施。公立中学2年生の5・7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4・1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答し、1学級につき1~2人のヤングケアラーがいる可能性がある。誰にも相談せず孤立しがちな実態や、健康・学業への悪影響も全国的に初めて裏付けられた。

 中2、高2ともにケアの頻度は「ほぼ毎日」が4割強を占め、週3~5日、週1~2日が各1割台。平日1日あたりのケア時間は平均約4時間で、「7時間以上」と答えた生徒も約1割いた。また1割前後は協力者がおらず「自分のみ」でケアをしていた。ケアの内容は、食事や掃除・洗濯などの家事、保育園などの送迎、障害や精神疾患のある家族の感情面のサポート、外出の付き添い、見守り、入浴・トイレの介助など、多岐にわたった。

「家族のこと」抱え込む子ども

 ヤングケアラーの支援に取り組む一般社団法人・日本ケアラー連盟(東京都)によると、背景には少子高齢化やひとり親家庭の増加などがある。手伝いの域を超える過度な介護が長期間続くと、心身に不調をきたしたり遅刻や欠席が多くなったりして、学校生活への影響も大きいという。進学・就職を断念するなど子どもの将来を左右してしまう事例もあるが、多くの子が「家族のことだから」と一人で抱え込んで外部に訴えないため、問題が表面化しにくい。

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