アーカイブ用光ディスク製品認証制度について

はじめに

図書館、博物館、公文書館などでは、資料をデジタル化し、長期間保存するというニーズがありますが、このほかに民間企業でも、例えば製造業では設計データ、品質データ、などは大切な財産であり、長期間データを保存することが求められています。
進歩の早いデジタル情報技術において、この貴重な財産を如何に安定的に保存するかが課題となりますが、光ディスクのフォーマットはISO、JISで規格化されており互換性が確保されているほか、民生ベースのフォーマットであるため、ドライブは長期にわたって供給されると期待できます。

アーカイブ用光ディスク製品認証制度は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下「JIIMA」)が、アーカイブ用光ディスク製品の品質の高さを認証する制度です。 この認証した製品を使うことで高品質な光ディスクによる長期保存が期待できます。

目的

光ディスクは、一般的に他の電子記録媒体に比べて長期間に渡る記録保存が可能な媒体特性も持っています。しかしアーカイブ用途(電子データを30年以上保存する)に用いる場合は、より信頼性の高いディスクに対し、信頼できる方法で記録する必要があります。
JIIMAでは、光ディスクとドライブの組み合わせを検証し、十分な品質を確保できる組み合わせについて認証することとしました。

認証制度について

認証制度について

認証を受けたディスクとドライブの組み合わせで、ディスクに記録した時の品質は、JIS Z 6017(電子化文書の長期保存方法)の規定で定めるところの「良好な状態」を満足するとともに、ディスクは ISO/IEC 16963 準拠の寿命試験で推定寿命が30年以上あることとしています。

認証製品について

アーカイブ用光ディスク製品として認証した製品には、上のようなロゴの表示を認めています。

光ディスクやドライブはそれぞれ別の製品として販売されていますが、アーカイブ用途として適した品質が得られるのは、指定した組み合わせの時に限ります。(Q&AのQ2参照のこと)

認証製品とは、その製品が工場から出荷された時点で、アーカイブ用途として十分な品質を保持していることを認証するもので、その製品が使用されるまでの取り扱いや保管環境などによって劣化する可能性もあり、必ずしも書き込まれたデータが十分な品質を持っていることを保証するものではありません。

アーカイブ用光ディスクの取扱、保存について

貴重なデータを長期間保存するには、アーカイブ用光ディスク製品を用いるだけでなく、作成時や保存では、JIS Z 6017に規定された方法に準拠し、安全を確保してください。

1. 記録媒体は正、副2式を作成し、1式は同一災害が及ばない遠隔地に保存する。
2. 保存媒体を取り扱う時は、記録メディア工業会が作成した「光ディスクの取扱い上の注意」を参考とする。
3. 光ディスクの保存環境は、下表による。長期保存専用に防火及び耐震設備を備えた環境で保存することが望ましい。

  • 長期保存環境:専用の長期保管庫に保存するほうが、光ディスクを長期に保存できる。
  • オフィス環境:オフィス環境の保存でも、媒体移行していくことで運用できる。
保存条件 長期保存環境 オフィス環境
温度 ℃ 10 ~ 25 5 ~ 30
湿度 % 40 ~ 60 15 ~ 80
じんあい(塵埃) じんあいの少ない環境 じんあいの少ない環境
保管庫の構造 耐火構造で、施錠管理できる。
外光を受けない、結露しない。
施錠管理できる。
外光を受けない、結露しない。
その他 有害な気体が存在しない。 有害な気体が存在しない。

(「光ディスクの保存環境」 JIS Z 6017:2013 表3)

詳しくはこちらのページを参照してください。

JIS X 6257 に基く認証について

アーカイブ用光ディスク製品認証制度は、“JIIMA長期保存用光ディスクを用いたアーカイブガイドライン” 及び “JIS Z 6017:電子化文書の長期保存方法”に基き、JIIMA初のJIS準拠の認証制度として2014年に運用が開始されました。
その後、“JIS X 6257:長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法”が制定され、本認証制度がさらに補強、推進されています。
この間、デジタル情報の爆発的な普及に伴い、デジタル情報 の“記録”から“アーカイブ保存”への需要が急速に高まり、オフライン(省エネルギー)でデータアーカイブ保存が可能なアーカイブ用光ディスク製品への注目が集まってきました。
また、電子化文書及びデジタルデータの保存として用いられる記録形光ディスクの普及と記録品質の信頼性を向上させることを目的として、ディスク欠陥等により不完全な記録が行われた際に記録データの交替処理を行う欠陥管理機能(以後DM光ディスク)の採用が検討されました。
このDM光ディスクは、アーカイブ保存用光ディスクとして経済産業省の“2020年度省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業”の中で採択され、2022年度には当該事業として前記のJIS X 6257にDMディスクの採用を追加した改正JISが制定されることになりました。

上記経緯をもとに、これまでの製品認証に加え、改正JIS X 6257に基くアーカイブ用光ディスク製品認証制度の運用を2022年11月21日より開始します。