日本で「ゾンビ企業」が急増しているウラにある、経済の間違った考え方…本当に必要な政策は?

実質的に破綻しているにもかかわらず金融機関などの支援で延命している、いわゆるゾンビ企業の増加が問題視されている。日本では「政府ではなく企業が雇用を守る」という誤った認識が浸透しており、これが企業の新陳代謝を阻んでいる。雇用セーフティネットの整備を進め、同時に企業の入れ替わりを促進する政策を強化すべきだ。

コロナのゼロゼロ融資が発端に

帝国データバンクの調査によると、企業の利払い負担が営業利益を下回る(厳密にはインタレスト・カバレッジレシオが1未満など複数条件がある)いわゆるゾンビ企業が増加している。2022年度の推定ゾンビ企業数は25.1万社と、前年の19.6万社を大きく上回った。調査対象企業全体に占めるゾンビ企業率は17.1%に達し、2020年以降、急上昇している。

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2020年以降、社数が急激に増えていることを考えると、直接的な原因は、コロナ対策として実施された実質無利子・無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資)であることは明らかだ。コロナ対策の緊急融資は、パニック的な事態を防ぐために必要だった措置であり、これによって一定程度、企業が延命してしまうことは想定済みといえる。

だが、コロナからの景気回復が進む現状においては、いつまでも過剰な融資を続けることは不適切であり、どこかのタイミングで融資の引き上げや、適応できない企業の市場からの退出が進んでしかるべきだろう。

日本では経済政策に関して誤った認識が2つあり、これが長期的な成長を妨げている。一つは「経済成長は企業や個人の活動が決めるのではなく経済政策が決める」という考え方。もう一つは「企業が労働者を守るべき」という価値観である。

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