階級最強トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」の第1回決勝がモスクワのオリンピック・スタジアムで開催され、WBC、WBO世界同級王者のオレクサンドル・ウシク(31)=ウクライナ=が、IBF、WBA世界同級王者のムラト・ガシエフ(24)=ロシア=に3-0の大差判定勝ち(120-108、119-109×2)し、初代勝者に輝いた。優勝賞金1000万ドル(約11億1000万円)とWBSS優勝者の証しとして故モハメド・アリ氏のロニー・アリ夫人から「モハメド・アリ・トロフィー」を授与された。
4団体の王者が参戦し、昨年9月に開幕したクルーザー級では、ウシクとガシエフが決勝に勝ち進み、それぞれがここまでで獲得したベルトを懸けて激突。米俳優スティーブン・セガールら2万4000人の観衆が詰めかけた中、サウスポーのウシクが手数とフットワークで、ガードを固めて前進するガシエフをコントロール。大差の判定で1988年にイベンダー・ホリフィールド(米国)が達成して以来となるクルーザー級での主要団体王座の完全統一を成し遂げた。ロンドン五輪ヘビー級金メダリストのウシクは15戦全勝(11KO)。敗れたガシエフは28戦26勝(19KO)1敗1NC。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180722-00000190-dal-fight
【ワシントン時事】米国防総省は20日、ウクライナの安全保障支援として、新たに2億ドル(約220億円)を拠出すると発表した。トランプ米大統領とプーチン・ロシア大統領は16日の直接会談で融和ムードを示したばかりだが、ウクライナに対する軍事支援にはロシアの反発が予想される。
国防総省によると、支援金はウクライナ軍の訓練や作戦に必要な、指揮統制やレーダー、通信などの能力向上に関する装備品に充てられる。 同省は声明で「長年にわたる米国とウクライナの軍事協力関係を再確認するものだ」と強調。ウクライナ南部クリミア半島がロシアに編入された2014年以降、米国が拠出した安保支援は10億ドルを超えるという。
一方、米国家安全保障会議(NSC)は、親ロシア派が支配するウクライナ東部の帰属を住民投票で決定するのは容認できないと表明した。プーチン氏が首脳会談で住民投票実施を提案したとされるが、NSCは声明で「ウクライナ政府の支配下にない土地で住民投票を行うのは正当性がない」と強調した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018072100255&g=int
ウクライナは6月27日、ドンバスで30回にわたる攻撃を受け、戦死者1名、戦傷者2名が出たと報告
ロシアのハイブリッド軍隊は、ドンバスに配置されたウクライナ軍に対し、過去24時間のあいだに30回にわたって攻撃を展開した。これにより、ウクライナ兵1名が戦死 (KIA)、2名が負傷 (WIA) した。
ウクライナJoint Forces Operationのプレスセンターが出した2018年6月27日07:00 (キエフ時間) 現在の最新の報告では、「情報機関の報告によると、居住者3名が死亡し、5名が負傷した」とのことだ。
https://www.unian.info/war/10167047-ukraine-reports-1-kia-2-wias-amid-30-enemy-attacks-in-donbas-in-past-day.html
違法拘束され、ロシアにてハンガーストライキを続けるウクライナ人の映画監督オレグ・センツォフは心臓と腎臓に異常があると発覚した。火曜日、ウクライナ人のオンブズマンであるリュドミラ・デニソワのFacebook投稿でそう明らかになった。
デニソワは、センツォフの弁護士と話したのだが、その弁護士は彼となんとか面会する事が出来たのだという。「センツォフは現在医療部隊のもとにいますが、彼の腎臓と心臓には異常が見つかりました。彼は、毎日3.5リットルの水を飲み、滴数計から更に2リットルの水を摂取しています」と彼女は言った。
センツォフのハンガーストライキ26日目、その事件は起きた。センツォフは、彼のいる刑務所外の病院に連行された。無理やり食事を取らされそうになったが、彼はそれを拒否。その後、彼の刑務所内の医療部隊へと引き渡された。
ウクライナにいるG7諸国の大使達はウクライナの政治犯とオレグ・センツォフのハンガーストライキに対し懸念を抱いている。彼らは、ウクライナ人をロシアの刑務所から釈放することを「重要な人道的前進」と捉えている。これは、キエフのG7大使サポートグループのカナダ人議長によるTwitter上でのメッセージ内で述べられていた。
同メッセージには「G7の大使達は、オレグ・センツォフとロシアで投獄・拘留されている人々の状況を深く憂慮しております。」と述べられている。
以前報道があったように、ロシア連邦保安庁はクリミアにて、ウクライナ人映画監督のオレグ・センツォフとクリミアの活動家アレキサンダー・コルチェンコを違法拘留し、両者ともロシアに強制連行した。センツォフは、クリミアでのテロ行為計画の疑惑、という冤罪で人里離れたセキュリティの強固な刑務所における懲役20年の判決を受け、コルチェンコは10年の禁固刑の判決を受けた。
オレグ・センツォフは、5月14日にハンガーストライキ決行を発表した。彼は、ストライキを通じて、ロシアとクリミアに拘留されている全てのウクライナ人の釈放を要求している。また、彼は、要求がのまれなかった場合に死ぬ覚悟は出来ていると言った。
https://112.international/russia/sentsov-suffers-problems-with-heart-and-kidneys-ukraines-ombudswoman-29598.html
イギリス・バーミンガムで開催されている「ネイチャーバレー・クラシック」(WTAプレミア/6月18~24日/賞金総額93万6128ドル/グラスコート)のシングルス2回戦で、世界ランク5位で第2シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)がアリゼ・コルネ(フランス)を6-4 6-2で下し、初のベスト8進出を決めた。
スビトリーナは、自分がグラスコート上のプレーを向上させつつあると信じている。
彼女はこの1月、世界1位の座まであと何勝というところへ迫っていたが、グラスコートではこれまであまり成功を謳歌したことがない。
「彼女(コルネ)はトッププレーヤーに対していいプレーをする選手だから、この試合はいい試合になると予想していたわ」と23歳のスビトリーナは言った。
「彼女は確かにいくつかの素晴らしいラリーをした。でも私は自分のパフォーマンスをすごくうれしく思うし、ここで初めて準々決勝に進めてうれしいわ」
第5ゲームでのドライブボレーとスマッシュのコンビネーションが、スビトリーナが初ブレークを果たす助けとなり、彼女はセットの残りを通し、このアドバンテージを手放しそうには見えなかった。
スビトリーナは、第2セットの第3ゲームでも同じようなアプローチをとり、 ドロップボレーで締めくくってふたたびブレークを果たした。その2ゲーム後の3度目のブレークは、ラリーをやめ、ライン上に乗ったボールをアウトと自己判断したコルネの行為によって助けられた。実質的にそれで試合に終止符が打たれたのである。
かなり長いことロンドンを拠点としているスビトリーナは、ごく最近、ウインブルドンのすぐ近くに家を買うことを決めており、自分を『ちょっぴりイギリス人』と呼ぶ。彼女の次の野望がウインブルドンにあることは、疑う余地がない。
彼女は次のラウンドで、ミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)と対戦する。キャリア最高の30位にいる30歳のブザネスクは、1年前には267位だった。彼女はペトラ・マルティッチ(クロアチア)を4-6 6-3 6-2で倒した。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180621-00010006-tennismagv-spo
ウクライナ議会の人権監督官のリュドミラ・デニソワ氏は、6月16日土曜日にロシア連邦の刑務所に不法に収監されたウクライナ市民、ミコラ・カルピュク氏との面会が許可されなかったと述べた。
「私はヴラディーミル中央刑務所にカルピュク氏との面会を出願した。囚人流刑地の所長は私の所へ来て、出願書を受け取った。カルピュク氏とは、権限を与えられた者としても、個人としても、面会することはできないと彼は言った」と、彼女は記している。
ミコラ・カルピュク氏は、拷問により一連の殺人について自白を強要された後、ロシアの刑務所に不法に投獄された。彼は正義の名による茶番の犠牲者だ。
https://en.interfax.com.ua/news/general/512515.html
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2016/10/russia-ukrainians-tortured-to-confess-to-chechnya-killings-lose-appeal-against-grossly-unfair-jail-sentences/
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、G7と欧州連合の大使たちと会い、6月9日から10日にかけてカナダで開催されたG7首脳陣によるウクライナの支持に賛成する会談の結果を議論したと、大統領の公式ウェブサイトが伝えた。
「ロシア内で不法に拘束されているウクライナ人の問題に特に注意が向けられた。ウクライナの大統領は、こうした人々を解放する努力について話し、また、こうした状況において国際的な努力を強めることの重要性を指摘した」と報告書には記載されている。
会談中は、ウクライナとEUのエネルギー保障の確立に対してだけでなく、ウクライナが改革に向けて、特に、国の安全保障部門の改革に向けてどれほど進展しているかについて注意が払われた。
両陣営はまた、今年7月にブリュッセルで行われるウクライナとEUおよびウクライナとNATOによるサミットへの準備についても議論した。
「G7の国々の外交政策においてウクライナの問題が重要な要素になっているのは間違いないとウクライナの大統領は指摘した。大統領はまた、領土の保全を回復させることや、現在も続いているロシアの侵略行為に関する制裁措置政策の観点から、ウクライナを支持することで一致団結することが非常に重要であると付け加えた」と報告書は伝えた。
https://www.kyivpost.com/ukraine-politics/poroshenko-g7-ambassadors-discuss-ukrainian-political-prisoners-in-russia-energy-security.html
ロシア派武装勢力はドンバスに位置するウクライナ政府軍に32回の攻撃を行った。ウクライナ国防省の代弁者Oleksandr Motuzyanykはキイフでの状況報告会でこれを述べた。
彼によれば、先述の期間における戦闘で1人のウクライナ兵士が死去した。さらに2人の兵士が負傷し、命に別状はないという。
ルハーンシク地域において、敵方は120mmの迫撃砲を発射した。22発がNovotoshkivskeに命中した。82mm迫撃砲による攻撃がKrymskeとLuhansk近くで観測された。Troitske、Zaitsevo、ZoloteおよびStanytsia Luhanskaでは、敵方は小火器類、重機関銃、対戦車擲弾(RPG)から砲火を放った。
ドネツク地域では、武装勢力は120mm迫撃砲を用いてヴォディアネとLebedynskeを砲撃した。敵の歩兵戦車1輌がMariinka (ドネツク地域) の守備隊に発砲した。
また機関銃とRPGによる砲撃がLomakynko、Shyrokyne、Pavlopol、Verkhnyotoretske、Lebedynske、アウディーイウカ、OpytneおよびTalakivkaで観測された。
先述の期間にわたり、ウクライナ軍もまた敵軍に人的被害をもたらした。5人が死亡し、他に4人が負傷した。敵の装甲兵員輸送車も破壊された。
https://112.international/conflict-in-eastern-ukraine/24-hours-in-donbas-one-ukrainian-serviceman-killed-two-injured-in-combat-29343.html
独仏露とウクライナの4カ国の外相は11日、ベルリンで会談し、ウクライナ東部への国連平和維持活動(PKO)部隊派遣や停戦合意履行を協議した。ロシアが全欧安保協力機構(OSCE)の停戦監視部隊を警護する小規模の部隊派遣を主張する一方で、ウクライナは本格的な部隊派遣を求めたことから、溝は埋まらずに外交当局の折衝を続けることで折り合った。
4カ国外相会談は2017年2月以来1年4カ月ぶり。これに先立ちロシアのプーチン、ウクライナのポロシェンコ両大統領も9日に電話協議し、双方で拘束されている政治犯や記者の釈放などを話し合ったが、進展はみられなかった。
ウクライナ東部では14年春に親ロシア派と政府軍の武力衝突が発生して以来、1万人以上の犠牲者を出し、推定150万人が国内外の避難民となっているが、断続的な衝突が続いている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180613-00000043-mai-int
セルビアは以前に、ウクライナ国民が6か月間にビザなしで滞在できる日数を30日から90日へと増やす可能性を検討していた。
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領とセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領が査証制度のさらなる自由化に合意したことを、ウクライナ政府の報道部局が伝えた。
「トルコに出張した際に、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、セルビア共和国のアレクサンドル・ヴチッチ大統領と会談し……両者は査証制度のさらなる自由化と国民交流の促進について合意した」と報じた。
https://112.international/politics/ukraine-serbia-agree-on-further-liberalization-of-visa-regime-29318.html
大西洋評議会の調査によると、ロシアのクリミアとドンバスへの侵攻により、ウクライナは約1,000億ドルの損失を被った。 調査はウクライナの危機メディアセンターで行われた。
「ロシアによるクリミアと国の東部への侵略によりウクライナは1000億ドルを失った。クリミアはロシア連邦に編入された。ロシアはウクライナ領のこの地域に全面的な法的責任を有している」。同メディアセンターが日曜日に述べた
この調査によると、クリミアの編入後、ウクライナは140万ヘクタールの領土を失ったが、これは18億ドル以上と推定されている。 加えて、ウクライナの銀行は、支店に残っていた資産17億〜19億ドルを失った。 さらに、ロシアはKrymenergoを没収したが、これは10億ドルの損失と見積もられている。
ドンバスのインフラは戦争中に破壊された。 彼らの研究で専門家は、ドンバスの戦争による損失を95億ドルと見積もっていた。
「私たちはクリミアの売却については話しをしていない。私たちにとってクリミアはウクライナの領土の一部だ。私たちはクリミアで不法に権利を失った投資家の保護について話をしている。 私たちにとって明白なのは、この領土に関する権利がウクライナに属すということであり、ロシアは単に私たちがこの問題を規制する権利を奪い取っただけだ。これが私たちの妥協のない立場だ」と、欧州統合を支持するウクライナ外務次官Olena Zerkalは述べた。
https://en.interfax.com.ua/news/economic/511195.html
6月7日、ウクライナ最高議会で最高裁汚職防止裁判所に関する法案が第二読会で315人の支持を獲得し、国会議員が起立して盛大な拍手を送った。
同法はこの裁判所について首都キイフに常設される「高等特別裁判所」であると説明している。
同法はまた、同裁判所がウクライナの領土全域をその管轄にするとも説明している。
ペトロ・ポロシェンコ大統領は投票後、「私たちは本日、汚職防止のためのインフラ構築を完了させた。ウクライナ当局が汚職と闘う決意を強調したい」とツイートした。
汚職は2014年にウクライナ人がロシアに近い政権を駆逐しようとし決起した最大の理由の一つだったが、ポロシェンコ大統領が対応を約束したにもかかわらず重大な問題として残っていた。
また、複数の国際金融機関が打撃を受けたウクライナ経済を支援すべく同国に数十億ドルの資金を提供している。
IMFが語ったところによると、汚職防止裁判所はウクライナが西側諸国の法的基準準を満たしてきたかどうかを計るための「基準」になり、将来、同国に対する融資解除に役立つだろという。
米国国務省は、「正真正銘の独立した汚職防止裁判所の設置は、このような要求を満たし、相変わらずウクライナの国家安全保障、繁栄、および民主主義の発展にとって脅威となっている汚職を撃退するために政府が取れる最も重要な緊急措置である」と語っている。
西側の関係者によると、汚職対策で厳しい措置を執れば、ウクライナは同国のクリミア地方を2014年に強奪し、東の2つの地域の一部を掌握する分離主義者の戦闘員を支援するロシアの干渉への対応力が格段に上がるという。
https://www.rferl.org/a/ukraine-lawmakers-pass-legislation-to-create-anticorruption-court/29278202.html
【AFP=時事】ウクライナ当局は5日、1986年に史上最悪の原発事故を起こしたチェルノブイリ(Chernobyl)原子力発電所周辺の立ち入り禁止区域で火災が発生したと発表した。だが立ち入り禁止区域とその周辺の放射線レベルは安全基準内にとどまっているという。
同国の緊急事態当局が発表した声明によると、火災は同原発から半径10キロ圏内にある高放射線区域内の乾燥した草原で5日朝に発生。その後、木が生えている10ヘクタール程度の範囲に広がった。
同国の原子力規制当局は、チェルノブイリ原発の建物に火災が及ぶ恐れはなく、その内部でも異常は発生していないと説明している。緊急対策当局によると、消防隊員130人以上と飛行機2機、ヘリコプター1機が消火作業に当たっている。風は首都キエフの方向には吹いていない。
チェルノブイリ原発周辺の森林や草原では繰り返し火災が発生している。2015年には4日間にわたって続く火災が発生した。【翻訳編集】 AFPBB News
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180606-00000007-jij_afp-int.view-000
「生き返った」男
ウクライナで不可解な事件が起きている。
ロシアのプーチン政権を鋭く批判し、ウクライナに逃れていたロシア人ジャーナリスト、アルカジー・バプチェンコ氏(41)が、ウクライナの首都キエフの自宅で何者かに撃たれて死亡した、とキエフの警察当局が5月29日、Facebookの公式アカウントで発表した。
だがその翌日、死んだはずのバプチェンコ氏が、治安情報機関ウクライナ保安局(SBU)のグリツァク長官とともに、元気な姿で報道陣の前に姿を現したのだ。
その背景に何があったのか。【BuzzFeed Japan/貫洞欣寛】
ブタの血で偽装
バプチェンコ氏は「心配をかけた家族や友人に誤りたい」と語った。治安当局からバプチェンコ氏の暗殺計画を察知したと連絡を受けたため、当局に協力して「死んだふり」をし、おとり捜査を仕掛けたと説明した。撃たれたふりをするため、ブタの血を使い、顔に特殊メイクまで施したという。
会見でSBUはバプチェンコ氏の暗殺を計画していた男を逮捕したと発表し、その場面の映像を公開した。グリツァク長官は「背後にいたロシア情報機関の陰謀を暴くための作戦だった」と説明した。
まるでスパイ映画を地で行くような話だ。ウクライナ当局は、バプチェンコ氏の暗殺を巡り金銭が支払われ、その背後にはロシア情報機関がいたとする声明を発表した。ロシア外務省は「プロパガンダ工作」と猛反発している。
SBUは逮捕者が事件に関わった具体的な証拠を提示してはおらず、現時点で何が事実かを確定的に語ることは難しい。それでもこの事件は、ロシアとウクライナを巡る3つの闇を、改めて浮き彫りにした。
1)忘れられた紛争
そもそも、なぜロシア人のバプチェンコ氏がウクライナに住んでいたのか。
その理由は、ウクライナとロシアが激しく対立し、戦争まで続けていることにある。
バプチェンコ氏はロシアのプーチン政権を鋭く批判する論陣を張ってきたが、「自らや家族への脅迫」を理由に2017年にロシアを離れた。チェコなどを経て、ウクライナに落ち着いた。
ウクライナ当局にとって、ロシアを批判してきたバプチェンコ氏は、受け入れて保護する価値が、十分にあるのだ。
ウクライナでは2014年、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領に反発する反政権デモが起きた。デモ隊と治安部隊の衝突が激しくなって首都キエフは混乱に陥り、ヤヌコビッチ政権は崩壊。ロシアはウクライナへの軍事介入を決めた。
ウクライナ南部クリミア半島では、国籍の明らかではない武装勢力(実態はロシア軍とみられる)が侵攻。親ロシア派の住民を糾合し、ロシアに編入させた。
また、ウクライナ東部のドネツクなどでも親ロシア派の武装勢力が姿を現し、独立を宣言。ウクライナ軍との間で戦闘状態となった。日本や欧米諸国はこの独立宣言を認めていないが、事実上分裂した状態が続いている。UNICEFなど国連機関を中心に住民の支援活動が続いているが、親ロシア派との境界線付近では銃撃や砲撃がいつ起きるか分からない状態が続いている。
一方で国際社会の関心は時間の経過とともに薄れており、「忘れられた紛争」と呼ばれる状態となっている。ロシアとウクライナ、そしてその背後にいる西側諸国の対立は激しく、住民らがその犠牲となり続けている状態だ。
ウクライナでの忘れられた紛争については、BuzzFeed Newsも取材を続けている。
2)ロシアで続く反政権派の殺害
5月29日にバプチェンコ氏の殺害が発表された時、欧州連合(EU)や、米国に本拠を置くNGO「ジャーナリスト保護委員会(CPJ)」などが一斉に殺害を非難する声明を出した。
多くの人々が殺害を「ありそうな話」と考えた。なぜならば、ロシアでは実際に、プーチン政権に反対する人々の殺害事件が相次いでいるからだ。
ロシアでは2000年にプーチン氏が大統領に就任して以来、旧ソ連の崩壊と民主化、資本主義への移行で緩んだ権力の集中が、再び急速に進んだ。
プーチン氏は旧ソ連の情報機関KGBの出身で、ベルリンの壁が崩壊した時は東ドイツに情報員として駐在し、KGBの支部に押し寄せるデモ隊を押し返すという経験をした。どんなに揺るぎなく見える体制も、一度緩めばあっという間に崩壊するという状況を、目の当たりにしているのだ。
CPJによると、ロシアでのジャーナリストの殺害は、1992年以降58人にのぼる。国際的に最も知られた事件は、アンナ・ポリトコフスカヤ氏の殺害だ。
ポリトコフスカヤ氏は独立系紙「ノバーヤ・ガゼータ」紙の記者で、チェチェン紛争でのロシア軍の行動やプーチン大統領の強権支配を批判する論陣を張り、国際的にも高い評価を得ていた。
だが、2004年にはロシアの航空機に搭乗した際に出されたお茶に毒を盛られて入院したり、殺害予告の脅迫を受けたりするなど、何者かに命を狙われている状況が続いていた。
そして2006年10月7日、モスクワ市内の自宅アパートで、射殺されているのが見つかった。何者かから金銭を受け取って殺害したとして元警察官らが逮捕されたが、詳しい背後関係は今も不明のままだ。
ポリトコフスカヤ氏が殺害されたのは、プーチン氏の誕生日だった。
元スパイに迫った猛毒
殺害されたのは記者だけではない。
ロシアの情報機関FSBの元スパイで英国に亡命したアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年、何者かに放射性物質の猛毒ポロニウムを体内に仕込まれ、死亡した。
2018年3月にも、英国に亡命した元FSBのスクリパリ氏が、英国南西部ソールズベリーの屋外で、意識不明の状態で倒れているのが見つかった。体内からは旧ソ連が開発した猛毒ノビチョクが検出された。
また、プーチン氏の政敵だった野党指導者ボリス・ネムツォフ氏も2015年、モスクワ市内で銃殺された。実行犯として5人が逮捕されたが、この事件の背後関係も不明なままだ。
とはいえ、ウクライナの当局が、記者の殺害という「偽ニュース」を一度は公式に発表したことは異様だ。CPJは「ニュースの偽造という極端な手段を執った理由を、ウクライナ政府は説明すべきだ」とする声明を出して批判している。
3)チェチェンとシリアと「テロとの戦い」
バプチェンコ氏とポリトコフスカヤ氏には、共通点がある。
それは、ポリトコフスカヤ氏は記者として、バプチェンコ氏はロシア軍の兵士として、いずれもチェチェン紛争の現場に向かったということだ。
二人はチェチェンで、戦争とプーチン政権への疑問を抱いた。
ポリトコフスカヤ氏は批判の論陣を張った。バプチェンコ氏はロシア軍を離れて紛争などを専門とするジャーナリストになり、一時は「ノバーヤ・ガゼータ」にも寄稿した。
チェチェンでは旧ソ連の崩壊後、独立派とロシアへの帰属を求めるグループの間で対立が激化し、1994~1996年と1999~2009年の二度にわたり、激しい戦争となり、いずれもロシア軍が大軍を動員して「平定」するかたちで戦闘は終結した。
一方でポリトコフスカヤ氏らは、ロシア軍の人権侵害や、市民被害をいとわない軍事行動を激しく批判していた。
チェチェンはイスラム教徒が多く、独立派もイスラム教徒が主流だった。ロシアの介入を「イスラムへの弾圧」とみるイスラム過激派が各国から流入し、ロシアで爆弾テロなどを行う事態となった。こうしたこともあり、プーチン政権はチェチェンでの戦争は「テロとの戦い」だ、と主張して正当化した。
シリアでは、ロシア軍がアサド政権に協力して航空兵力や陸上兵力を派遣している。このところ、首都ダマスカス近郊東グータ地区などでアサド政権軍が次々と反体制派を撃破しているのは、ロシア軍の空爆による協力が大きい。
シリアで膨大な市民の被害を生み出したロシア軍とシリア軍による激しい空爆はチェチェン紛争が激しかった当時以上の国際的な批判を招いている。
しかし、アサド、プーチン両大統領は批判を意に介しておらず、ここでも「テロとの戦い」が攻撃を正当化する理由に用いされた。
チェチェンでもシリアでも、確かに国際的に「テロ勢力」と認められる勢力が存在していた。問題なのは、遙かに大きな数の市民が犠牲となっていることだ。
バプチェンコ氏は、こうしたロシアのチェチェンやシリア、そしてウクライナへの派兵を強く批判していた。
そして自国の戦争を批判するロシア人には、世論の猛攻撃を含む激しい「報復」が加えられてきたのが実態だ。報復には、「死」すら含まれる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180602-00010000-bfj-int&p=1
【AFP=時事】ウクライナ当局は1日、ロシア人ジャーナリスト、アルカディ・バブチェンコ(Arkady Babchenko)氏の殺害偽装を伴うおとり捜査で、今後襲撃され得る47人のリストが見つかったと明らかにした。
この捜査では、高官らがバブチェンコ氏が死亡したとの虚偽情報を公言して議論が起こっているが、ユーリー・ルツェンコ(Yuriy Lutsenko)検事総長はフェイスブック(Facebook)上で、おとり捜査は治安機関が「テロリストの次の犠牲者となり得る」47人のリストを発見するため役立ったと説明。その大半が、ウクライナ人または同国に逃れてきたロシア人のジャーナリストだとした。
さらにルツェンコ氏は、すでに全員に危険を通知しており、安全策が取られているところだとした。
ウクライナ当局は先に、ロシアの秘密機関はバブチェンコ氏以外にも約30人の殺害をもくろんでいたと明らかにしていた。ルツェンコ氏を含むウクライナの法執行機関トップらは1日、同氏の投稿に先立ち、日本や欧米諸国の外交団と会談。バブチェンコ氏に対する契約殺人を偽装した判断について詳細を説明した。【翻訳編集】 AFPBB News
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180602-00000006-jij_afp-int