教育心理学研究
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展望
置き換えられた攻撃研究の変遷
淡野 将太
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キーワード: 置き換えられた攻撃, TDA
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2010 年 58 巻 1 号 p. 108-120

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抄録

 本稿は, 置き換えられた攻撃研究の概要とTDA(triggered displaced aggression)研究の動向をレヴューし, 置き換えられた攻撃研究の変遷を辿った。攻撃の置き換えの現象成立に関する一貫しない実験研究は, Marcus-Newhall, Pedersen, Carlson, & Miller(2000)のメタ分析によって集約され, 無視されてきた調整変数も見直された。現在では攻撃行動の一形態としての置き換えられた攻撃を研究する流れと, TDAとしての置き換えられた攻撃を研究するふたつの流れが存在する。そして, TDA研究は現在, TDA理論を軸に攻撃の置き換えの誘発メカニズムについて精緻化を行いながら, 置き換えられた攻撃に従事しやすい個人差を測定する尺度の開発や, 攻撃の置き換えを誘発しない緩衝効果の検討を行うなど, 研究を発展させている。本稿は, 置き換えられた攻撃の発達心理学的研究, 社会的行動特徴としての置き換えられた攻撃研究, TDA研究の知見を応用した介入研究, TDA理論のさらなる精緻化および直接的攻撃, 置き換えられた攻撃およびTDAの複合的検討の可能性を示した。

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© 2010 日本教育心理学会
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