DATA Discman――ソニー電子書籍端末ショーケース

往年の名機から最新のタブレットまで――古今東西の電子書籍端末をショーケース風に紹介する「電子書籍端末ショーケース」。今回は、ソニーが1990年代に国内販売していた電子ブックプレーヤー「DATA Discman」を取り上げる。

» 2012年02月25日 10時30分 公開
[山口真弘,ITmedia]

製品概要

 ソニーが1990年代に国内販売していた電子ブックプレーヤー。多くの機種が2つ折りできるクラムシェル型のボディを採用し、8センチCD-ROMで供給される電子ブックを読み込んで利用するスタイルで、検索をメインとする辞書や語学学習などの分野で人気を博した。

 写真の「DD-S35」はDATA Discmanシリーズで最後に生産完了となったモデルで、フォーマットはEB、EBG、EBXAのほか、1998年に策定された拡張規格のS-EBXAにも対応する。電子ブックは「広辞苑第五版&リーダーズ英和第2版・新和英」と「マイペディア&漢字源」の2枚が添付する。

 本モデル以降、電子辞書はよりコンパクトで電池寿命が長いICタイプ「DD-ICシリーズ」へとシフトし、そのICタイプも2006年までに生産を完了したため、本製品の流れを直接汲む電子ブックプレーヤー/電子辞書は同社のラインアップの中には存在しない(同社からは2004年にBBeBフォーマットに対応した電子書籍端末「LIBRIe(リブリエ)」が発売されているが、本シリーズと直接の関連はない)。ちなみに「電子ブック」はソニーの登録商標。

型番 発売年月 標準価格 派生モデル
DD-1 1990年7月 5万8000円
DD-1EX 1991年10月 5万8000円
DD-10 1991年11月 6万5000円 DD-10S
DD-10BZ 1992年6月 6万9000円
DD-10EX 1992年9月 6万円
DD-8 1993年2月 4万3800円
DD-30DBZ 1993年10月 6万9000円
DD-20 1994年2月 3万9800円
DD-22 1994年2月 3万9800円
DD-25  1994年9月 4万3800円 DD-25P
DD-55  1995年4月 3万5000円 DD-55P
DD-66  1995年7月 3万9800円
DD-75  1996年3月 4万2000円 DD-75SP
DD-2001 1996年3月 8万円
DD-85  1996年6月 3万3000円
DD-95 1996年9月 4万2000円
DD-300 1997年2月 4万3800円
DD-MR10 1997年3月 3万9800円
DD-CH10 1997年4月 4万2000円
DD-202 1997年6月 2万9800円
DD-216 1997年10月 3万6000円
DD-250 1998年3月 3万3000円
DD-350 1998年6月 4万3800円 DD-350SP
DD-RE10 1998年9月 4万3800円
DD-150 1998年10月 3万6000円
DD-S30 1999年3月 4万3800円
DD-170 1999年7月 オープン
DD-S1000 2000年2月 8万円
DD-S35 2000年6月 4万3800円
DD-S15 2000年10月 オープン
DD-S25 2000年10月 オープン
「派生モデル」は、ベースモデルに別の電子ブックを追加したもの
このほか、電子ブックをPCやワープロで利用するための電子ブックドライブ「DD-DR1」も存在する(標準価格4万8000円)

スペックで見る「DD-S35」

メーカー ソニー
国内発売時期 2000年6月
発売時価格 4万3800円
専用/汎用 専用
OS 独自
OSバージョン -
サイズ 132(幅)×110(奥行き)×31(高さ)ミリ
重量 約420グラム(電池および電子ブック含む。本体は約340グラム)
解像度 320×240ドット
ディスプレイ モノクロ液晶
カラー/白黒 モノクロ16階調
画面サイズ 5.2インチ
通信方式 なし
Bluetooth なし
内蔵ストレージ なし
メモリカードスロット なし
バッテリ持続時間(メーカー公称値) 10時間(電子ブック検索時)
タッチ操作 非対応
対応フォーマット EB、EBG、EBXA、S-EBXA
コネクタ なし
電子書籍ストア なし(8センチCD-ROMにて供給)
その他 2003年に生産完了。なお、本製品のあと発表された「DD-S15」「DD-S25」は本製品より先に生産を完了している
最終更新日:2012年2月25日

写真で見る「DD-S35」

右60度傾斜外観本体を持った写真CDとの比較 初代の「DD-1」以降、ほとんどの機種がクラムシェル型のボディを採用する(写真=左)/座学を前提としたボディのため、持って利用する用途には向かない(写真=中央)/のちのICタイプの電子辞書に通ずる形状およびフットプリントだが、かなりの厚みがある(写真=右)
単体正面左側面右側面 正面。画面サイズは5.2型とかなり大きい。同時期にはカラー液晶を搭載した「DD-S1000」も発売されているが、本機の液晶はモノクロ(写真=左)/左側面。イヤフォンジャックを備える(写真=中央)/右側面。音量調節ダイヤル、コントラスト調節ダイヤルを備える。蓋部にはバックライトスイッチが見える(写真=右)
上面底面裏面 上蓋を閉じた状態。データディスクマンロゴの左側には、電子ブックのフォーマットである「S-EBXA」のマークがある(写真=左)/底面。とくに端子類はない(写真=中央)/背面。電源コネクタを備える(写真=右)
キーボードはQWERTY配列。電子ブックプレーヤーと銘打っているものの、辞書用のファンクションキーを備えるなど、実質的にはメディア交換が可能な電子辞書という位置づけ。左下にはスピーカーを備える(写真=左)/操作パネル部を持ち上げて電子ブックを挿入することで読み込まれる。本製品添付の電子ブック以外にも市販の電子ブックタイトルが利用可能。またキャディにセットすることで音楽用の8センチCDも再生可能(写真=中央)/ACアダプタ以外に単3電池×2や、充電式ニッカド電池での駆動も可能(写真=右)
メイン画面コンテンツ表示画面 本製品は「広辞苑第五版&リーダーズ英和第2版・新和英中辞典」および「マイペディア&漢字源」を搭載。これは広辞苑の検索画面(画面=左)/検索結果から該当する単語を選んで決定することで意味が表示される。複数辞書を同時検索する機能はない(画面=中央)/辞書本文を表示したところ。文字サイズは3段階で可変する(画面=右)
リーダーズ英和第2版に切り替えて検索を行ったところ。単語の読み上げも行える(画面=左)/画面を左右に分割し、一方の画面を参照しながら検索を行える(画面=中央)/電設定画面。単語読み上げの繰り返し回数などが設定できる(画面=右)

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