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慰安婦償い金:韓国人受領3割弱 元基金幹部証言

毎日新聞 2014年02月27日 07時00分

 元従軍慰安婦への償いを目指し、1995年から12年間事業を展開したアジア女性基金の国・地域別実施人数が26日、元基金幹部の証言で判明した。元慰安婦が日本を告発し、問題が顕在化するきっかけとなった韓国は60人で、韓国政府が認定した29%だった。韓国などの反発に遭い評価の分かれた償い事業の全体像が明らかになるのは初めて。

 国・地域別の人数を公表したのは、アジア女性基金の専務理事を務めた和田春樹東大名誉教授。和田氏によると、96〜2002年に3国1地域の被害者に事業を実施した内訳は、韓国60人▽台湾13人▽フィリピン211人▽オランダ79人。当初、日本側は韓国61人を対象に実施したが、うち1人が「受け取っていない」と訴えた経緯がある。

 02年の時点で韓国政府が認定した元慰安婦は207人で、事業を受け入れた人は3割足らずだった計算になる。台湾は、02年の現地報道では認定され生存している被害者が36人だった。

 国会審議の中で基金側は存命の被害者の半数近くが償い事業を受け取った、などと答弁していた。韓国の場合、受け取った人たちに国内で圧力がかかる心配があり、他の国・地域別人数も明らかにできなかった。

 和田氏は「歴史問題を巡る対立から最悪になっている日韓関係を打開するために、慰安婦問題を解決しなければならない。それには日本政府が慰安婦問題の解決を試みたアジア女性基金の経験を総括し、いま解決のために何がなされなければならないかを検証する必要がある。そう考え、あえて人数を公表した。半数をはるかに下回った韓国では事業が完了できたとは言えない」と話している。【岸俊光、中澤雄大】

 ◇アジア女性基金

 正式名称は女性のためのアジア平和国民基金。1993年の河野洋平官房長官談話に基づき村山富市内閣が95年7月に設立し、新たに国家として個人補償は行えないとしながら、道義的責任を認める立場から約5億6500万円を集めた。償い事業は、国民の寄付による被害者1人当たり200万円の償い金と、政府拠出の120万〜300万円の医療福祉支援、首相のおわびの手紙などからなる。おわびの手紙には、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎の歴代首相が署名した。2007年3月に解散。

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