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フジコ書き足し眉ティントに命を救われた話

3 min
B!

貴様は社会的な死を経験したことがあるだろうか?

あれは嫌だ。刃物が身体にじんわりとめり込んでいくような感覚。鼓動は早くなり、嫌な汗が額に浮く。

そんな経験が俺にはある。つい4日前のことだ。少しだけ話を聞いてもらえるだろうか。

深酒をした翌日の肌寒い日だった。泥酔して朝まで飲んだのだろう。時計をみると夕方になっていた。二軒目からの記憶はほとんどない。ただ、友人Yと焼酎を交互に一気飲みするシーンは妙に覚えている。

ガンガン痛む頭を押さえると、目の上の肌触りに違和感を覚えた。

眉毛がない。

肌寒いと感じたのは、眉毛がないからだった。眉毛がない。記憶もない。おまけに財布の中身もない。

どうしてこうなったのか、誰か真相を暴いてください。それだけが私の望みです。

一緒に飲んだ友人Y・自宅に居合わせたヨメの証言と残された写真を組み合わせたところ、事件当日のマサオカ・友人Yの両名はとても奇妙な行動を取っていたことが判明した。

  1. 22:00未明
    泥酔して友人Yと帰宅後、飲み直す
  2. 23:00未明
    「ジャン負け眉毛全剃りゲーム」が始まる
  3. 23:14
    勝敗関係なく仲良く眉毛を剃る
  4. 24:00未明
    もう一度、外に飲みにいく
  5. 5:21
    まだ飲んでる

眉毛全剃りゲーム・・・?眉なしの状態で、外に行く・・・?

たった一夜にして俺(と友人Y)は社会的に死んだ。

しかし死んだままでもいられないのが社会人。失った眉毛を取り戻さなければいけない。俺たちにとって眉毛は「ひとつなぎの大秘宝」なのだ。世はまさに大育毛時代。

俺が最初に目をつけたのは、筆ペンだった。

文具オタクなのでペンはいくらでもある。俺の「筆ごこち」は、筆ペン系最強のペン。眉毛など余裕!!

ダメだった。筆ごこちの塗りの良さがが仇となった。ペン入れして出来上がったのはイモト。何度書いてもイモト。俺はまだ珍獣ハンターになりたくない。ONE PIECEを探し続けていたい。

文具はダメだ。

そのときマサオカに電流走る。

Twitterだ。ゲームの名前がわからないとき結婚式にスーツを忘れて行ったとき。思い返せば、俺が困ったときにいつも隣で支えてくれたのはついったらー、お前らだったんだ。

いつもありがとう。今日も助けて欲しい。

リプは大喜利で染まった。正直もうダメだと思った。こうなったお前らは「どうやって上手いこと言ってやろうか」という思考に染まる。ここにONE PIECEはない。

Twitterはだめだ。

もう自分でなんとかするしかない。人目を気にすると逆に目立つ。肩で風を切りながら堂々とドラッグストアに向かった。

でも化粧品のことがわからない。ここはスタッフの力を借りるしかなかった。

想像して欲しい。スケキヨみたいな男が化粧品について聞いてくるのだ。このときの店員さんの気持ちを40文字で表してください。(20点)

「すみません、眉毛を書くペンはどこですか?」

案内してもらったところで化粧の基礎知識がないからどれも同じように見える。そんな中、圧倒的な存在感を放ちながら彼女がいた。

フジコだ。

フジコがONE PIECEだった。

ペン先が4つに分かれているから4倍のスピードで書ける。化粧なんてしたことがない俺には、化粧時間を取られることこそが苦痛。スピード。これ。

もう資生堂もUNOも俺の目には入らない。

筆ペンとくらべても、細い線がかける。これだ。いままで使ったどのペンよりも眉毛を書きやすい。

ペンも太くて持ちやすい。

「フジコ、お前が欲しい」

すぐに彼女を連れて帰った。

元あった眉毛をイメージしながらペンを入れていく。すごい。失くしたはずの眉毛がそこにはあった。珍獣ハンターはどこに行ったんだろう。

「フジコ、ズッ友だよ」

こうして、俺はフジコに命を救われたってわけ。

後日談

14日経ちました。まだ完全とまでは行きませんが、眉毛が生えてきました。

35日目です。元あった眉尻の位置に毛が生えません。

マサオカ

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