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パナソニック、カメラ事業正念場 動画配信に活路

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日経ビジネス電子版

かつて世界初のミラーレス一眼を生み出したパナソニックは、よもやのシェア低迷に悩んでいる。2022年4月には持ち株会社制に移行し、事業ごとの採算がより鮮明になる。カメラ事業で底力を見せて巻き返せるか。

「今までメーカー目線だったと反省している。いつの間にか、カメラ(の製造)だけにとらわれていた」。パナソニックの豊嶋明エンターテインメント&コミュニケーション事業部長は21年12月中旬、日経ビジネスなどの取材にこう語った。同社のデジタルカメラ「LUMIX(ルミックス)」は市場シェアが1ケタ台にとどまっている。

パナソニックは本来なら、世界一のカメラメーカーに躍り出ていてもおかしくない。世界のデジカメ市場は、日本勢が圧倒的なシェアを握っている。そして現在の主流となったミラーレス方式のデジカメは、同社が08年に世界で初めて実用化したものだ。一眼レフカメラの内部からミラーをなくし、従来よりも薄くて軽い商品にできた。今では各社で必須となっている手ぶれ補正機能も、世界で初めてデジカメに搭載したのは同社だ。

カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、21年1~10月のデジカメ出荷額(国内・国外向けの合計)は3944億円で、うちミラーレスカメラが2581億円と65%を占める。ただ、調査会社BCN(東京・千代田)によると、各社のシェアは過去14年間で大きく変わった。

ミラーレス市場のうち、08年にはパナソニックが販売台数の95%を占めていた。ところがOMデジタルソリューションズ(旧オリンパス)やソニーが参入し、10年にはパナソニックのシェアが約38%まで低下した。現在はα(アルファ)シリーズで人気のソニーが首位となり、キヤノン、OMデジタル、富士フイルムが続く。パナソニックは5位で8%へと下がってしまった。

独自規格で苦戦

スタートは上々だったパナソニックが、なぜここまでシェアを落とすことになったのか。BCNの道越一郎チーフエグゼクティブアナリストは「パナソニックが開発したマイクロフォーサーズという規格が、苦戦を招いた一因」とみる。

ミラーレスの規格は、「イメージセンサー」のサイズも左右する。このセンサーは、レンズに入った光を電気信号に変換して画像データを作る役割を担い、昔のカメラのフィルムに相当する。かつて標準的だった「35mm判フィルム」と同等の大きさのセンサーは、「フルサイズ」(36mm×24mm)と呼んでいる。マイクロフォーサーズだと、この面積の約3.8分の1のセンサー(17.3mm×13mm)を使う。

センサーが小さいとカメラ自体も小型化しやすいが、画素数を上げにくいという難点もある。狭いなかで高画素にすると、一つ一つの画素の面積は小さくなる。より多く光を取り込むための「感度」を上げようとすると、画像にノイズが出ることもある。

このためマイクロフォーサーズ規格のカメラは1600万~2000万画素のケースが多い。ソニーやキヤノンはフルサイズやAPS-Cなど、より大型のセンサーで3000万~4000万台の画素数を主流にしてきた。必ずしも高画素イコール高画質ではないが、マーケティング戦略だ。

スマホと激戦、高価格帯の勝負に

一般消費者向けのカメラは、スマートフォンからの猛攻にさらされている。ミラーレス市場(20年時点)をみると、販売台数構成では10万円以上の商品が約36%を占め、高価格品が主力となってきた。おおむね6万円台までのゾーンは「高機能になったスマホのカメラで十分」と、消費者が離れていってしまう。

米調査会社のIDCによると21年7~9月期、米アップルのiPhoneは出荷台数が5040万台と、前年同期比で20.8%も伸びた。さらに9月下旬には最新機種「iPhone13」を発売し、超広角カメラを搭載して手ぶれ補正機能も強化した。韓国サムスン電子の「Galaxy(ギャラクシー)S21 Ultra 5G」は、最大100倍のデジタル望遠機能や人工知能(AI)による画像エフェクターが特徴だ。

CIPAによると21年の世界へのデジカメ出荷量は、前年同月比でマイナスが続いた。もともとスマホに押されて低価格帯を中心に厳しかったところへ、新型コロナウイルス禍が襲った。スマホは巣ごもり需要もつかむが、カメラ単体だと外出が活発になるまで販売が伸びにくい。

世界的にコロナが落ち着いて一時的に急回復したものの、8月以降はまた減少に転じた。この状況で、どうにか需要の見込める高スペックのカメラに各社が勝負をかけている。

パナソニックもコロナ禍前の時点で、市場の先行きに危機感を募らせていた。そこでフルサイズのミラーレスカメラにも19年から参入。ルミックスの「Sシリーズ」と銘打った商品はプロカメラマン仕様で、実売価格はおおむね20万円台~50万円台。ただ、既に激戦区となっている市場で戦うのは楽ではない。

プロ向けは、スポーツ大会のような主要イベントでカメラマン用のメンテナンス会場を設けるなど、販売後もメーカー側のサポート体制が問われる。同社はまだシェアが限られるなか、本気でここに経営資源を投じていけるのか。カメラマンにとっても高い買い物なので、メーカー側が中途半端なスタンスを取れば購入をためらってしまう。中長期かつ頻繁に顧客を支えていけるか、メッセージを出す必要がある。

動画配信に商機

ルミックスの命運がかかるのは、動画機能だ。「GH5」という機種はかつて、ユーチューバーのヒカキンさんが「Youtuber最強カメラ!?」「かなり動画撮影に適している」などと紹介して人気になった。ビデオカメラではなくミラーレス一眼で動画を撮る場合、1台で静止画の撮影と兼用できるメリットもある。

このGHシリーズはミラーレス一眼ながら、動画の連続撮影時間を無制限にできた。これまで多くの一眼機種では、動画を撮影し続けると内部に熱がこもるため、30分程度で休止する必要があった。うまく熱を逃がす構造に設計し、「動画向け一眼」の地位確立を目指している。

静止画で弱点にもなりかねなかったマイクロフォーサーズ規格は、「むしろ動画に向いている」(BCNの道越氏)。例えば、カメラのピントが合う範囲を示す「被写界深度」。これが深いほど人間の目のように、手前のものも奥の物体も同時に捉えやすい。逆にフルサイズのカメラは「被写界深度が比較的浅いので、特定のものを強調して奥にボケ感のある画像を撮るほうが適している」(カメラ専門店の担当者)。

マイクロフォーサーズもボケ感のある画像は撮れるが、被写界深度が適度に深いので広範囲にも対応しやすいという。つまり数人でのダンスや屋外イベントなど、前後に動きのある被写体に広く焦点を合わせ続けるには強みを発揮できる。

さらに21年に発売した後継機「GH5M2(マーク2)」は、実売価格はレンズ付きで22万円程度と決して安くはないが、動画のライブ配信機能を追加し、性能を高めた。パソコンなしでもカメラとスマホやタブレット端末をWi-Fiでつなぎ、専用のアプリ上ですぐに「YouTubeで配信」という項目をタッチするだけで済む。

パナソニックの豊嶋事業部長は「動画の記録だけでクリエーターが満足するわけではない」と語り、どうやって配信まで手軽にできるかが付加価値を生むとみている。開発中の「GH6」も動画配信機能を強化する見込みだ。

そうなると通信の安定性が、動画の生配信では肝になってくる。iPhoneやアンドロイドのOS(基本ソフト)更新についても、即座にアプリ側が対応しないと接続できなくなるリスクもある。これまでの静止画でも、メーカーや機種によってWi-Fi接続に課題があった。

今後の動画は、旅先でも気軽に生配信したいという需要がある。機器同士がサクサクと連携できることがより重要で、通信技術について自前の開発にこだわらず「強みを持っているパートナーと組むことも考えている」(豊嶋氏)。

このほか実際の人物の動きと配信される動画上の動きにはまだ数秒のタイムラグもあり、ユーチューブ上でもらうコメントと反応に若干のズレが生じる可能性はある。今後、技術的にどう解消するかも腕の見せどころだ。正念場のルミックスは、ここから逆襲に挑む。

(日経ビジネス 小太刀久雄)

[日経ビジネス電子版 2022年1月5日の記事を再構成]

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