2021 年 37 巻 4 号 p. 255-264
本邦の学校心臓検診(心臓検診)の制度は1973年に文部省学校保健法施行規則が改正されて開始された.現在のように小学1年・中学1年・高校1年生全員の心電図検査が行われるようになったのは1994年12月の改正からであり,世界的にも類を見ないこの全国的な心臓検診システムにより心疾患の早期発見および突然死の防止につながっている.診断方法や治療デバイスの発達によるガイドラインの変更など,時代に合わせて変遷した結果,現在の小児心臓突然死減少がもたらされている.最終的な目標として小児心臓突然死ゼロを目指す小児循環器医療従事者に必要と思われる最新のガイドラインや,本邦における小児の突然死の状況,特に心臓検診での発見が可能な肥大型心筋症について解説する.