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映画『MMRワクチン告発』公開中止のお知らせ

映画『MMRワクチン告発』(原題:Vaxxed)日本配給会社のユナイテッドピープル株式会社より、本作の劇場公開中止の発表をさせていただきます。本作の公開を楽しみにされていた皆様、プレス関係者の皆様並びに劇場関係者の皆様には公開2週間を切っての急な公開中止となりご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。チケットをすでにご購入の皆様におかれましては、劇場窓口でご購入のチケットは劇場にて、メイジャー様でオンライン購入された方はメイジャー様にて、それ以外の皆様におかれましては、弊社より返金手続きを行います。こちらより、ご連絡くださいますようよろしくお願い申し上げます。弊社では配給会社メッセージとして「MMRワクチンと自閉症の因果関係の有無について科学的な証明がなされていないことを承知しておりますし、ワクチン接種に反対ではありません。ワクチン接種の重要性を認識しつつ、上記の理由に加え、本作の以下の点に合理性があると判断し、日本公開を決定しました。

・MMR(新三種混合)ワクチンの安全性について追加調査や研究が必要である
・安全性が確認されるまで、単独接種を推奨する」
と発信しました。しかし、以下に説明する理由の通り、公開中止の決断を致しました。以下に、理由と、事の経緯をご説明させていただきます。

公開中止の経緯と理由

映画中、アメリカ以外、アジアでも新三種混合(MMR)ワクチンの使用による影響の可能性を連想させる使い方で、日本でも自閉症と診断される方の数も右肩上がりに増加している様子のグラフが紹介されるシーンがあります。しかし日本では、1993年に事実上、MMRワクチンは中止されております。にもかかわらず、その後も日本では引続き自閉症が増えているので、この映画が示唆する「MMRワクチンと自閉症に因果関係が疑われる」可能性はないとする研究がありました。
※映画中、日本のグラフの線の表示は1990年代前半で終わっているためグラフ表示そのものには問題は見られません。

この点についてアンドリュー・ウェイクフィールド監督側に指摘したところ、ウェイクフィールド監督本人が説明する動画が送られてきました。その文章は、監督メッセージのページ下部に掲載をしておりますが、要約すると、「日本では1994年の法改正により、満1歳からはしかと風疹の予防接種が同時に推奨されるようになった。さらにその4週間後から、おたふく風邪ワクチンも任意で接種できた。自閉症が再び増加したのは、はしかと風疹のワクチン接種増加とちょうど比例していた。」との内容でした。

映画は、米国疾病対策センター(CDC)の研究員の内部告発内容をもとに、MMRワクチンと自閉症との因果関係の有無を問う内容で、安全性が確認されるまでは、それぞれのワクチンの単独接種を勧める内容です。監督からの上記の説明を受け、また、情報源として示されたワクチン接種スケジュール画像を見て、1994年以後も日本でははしかと風疹の2種のワクチン接種が同時に行われていたと理解し、そのような背景があるならば、問題がないだろうと、公開への準備を継続しました。

しかし、MMRワクチンが中止されているにも関わらずグラフに日本を出すことは適切ではないだろうから、グラフで示す国を変更するか、映画の最後に補足説明を加えることの対応のどちらかを監督側に求めました。そして、メッセージを映画の最後に加えることで、対応が決まりました。以下がそのメッセージです。

「アンドリュー・ウェイクフィールド監督日本向けメッセージ

日本ではMMRワクチンは中止されましたが、1994年の法改正により、日本の赤ちゃんには、生後12ヶ月後からはしかと風疹の予防接種が同時に推奨されるようになりました。MMR中止後減少した自閉症が再び増加した時期は、はしかと風疹のワクチン接種増加とちょうど比例しています。生ワクチンにさらされるという状況は、日本からなくなっていなかったのです。
メッセージ詳細 unitedpeople.jp/vaxxed」

事が動き始めたのは11月1日です。上記動画で使用されていた写真に写り込んでいた方のご関係者から削除を求められました。この動画は監督側が制作したものに日本語字幕を弊社が付けたものでした。写真利用について、著作権上問題がないのか念の為確認しましたが問題ないとの回答だったので公開しました。しかし、ご指摘を受け、写真がそもそも誤った使い方であることに気づき、速やかに本動画を非公開とし、その後削除しました。ご関係者の皆様にはお詫び申し上げます。

また、直接お会いしてお詫びするために、翌11月2日にご関係者とのご面会の機会をいただきました。ウェイクフィールド監督の動画説明に疑念を抱いたのは、この時同席された小児科医の先生より、1994年当時、はしかと風疹のワクチンは1ヶ月ほど間を空けて打っていたという指摘を受けた時です。事実であれば、ウェイクフィールド監督の説明とは食い違います。その後、多数の文献に目を通し、複数の専門家や厚生労働省を含む機関にヒアリングをした結果知ったことは、1994年以後、2006年の2種混合ワクチンであるMRワクチン定期接種開始以前、はしかと風疹ワクチンの単独接種が少なくとも推奨されていたという事実でした。

例えば厚生労働省ホームページに掲載されている財団法人 予防接種リサーチセンター、予防接種ガイドライン等検討委員会が1994年に作成した「予防接種ガイドライン」には以下の記述がありました。

「第6 予防接種の接種間隔
1 違う種類のワクチンを接種する場合の間隔
あらかじめ混合されていない2種以上のワクチンを接種する場合は,不活化ワクチン及びトキソイド接種の場合は,1週間経てばワクチンによる反応がなくなるため1週間以上をあけて,生ワクチン接種の場合は,ウイルスの干渉を防止するため4週間以上間隔をあけて次のワクチンを接種する。」

「生ワクチン
ポリオ,麻しん,風しん,BCG,おたふくかぜ,水痘
↓ 4週間以上あける
不活化ワクチン
生ワクチン

(生ワクチンを接種した日から、次の接種を行う日までの間隔は27日間以上置く。)」

本件を国立感染症研究所感染症疫学センターにも確認したところ、麻しん(はしか),風しんワクチンは、生ワクチンのため、医師が特に必要を認めた場合以外は、中27日以上の間隔をあけることは正しいとの回答を得ました。要するに特別な事情がない限り、これらのワクチンは27日以上の間隔を置いて打つことが、上記ガイドラインでは推奨されていましたが、その事実関係が確認されました。実際の現場で、同時接種を選択した医師も存在するとは思いますが、どのような推奨が当時されていたかが問題でした。

監督は生後12ヶ月後からはしかと風疹の予防接種が可能になることと示されたスケジュールを見て、同時接種が推奨されたと誤認されたのかもしれません。いずれにしても、日本では「1994年の法改正により、満1歳からはしかと風疹の予防接種が同時に推奨されるようになった」事実は確認出来ず、むしろ1994年以後は単独接種が推奨されていた事実がある以上、監督の主張は成り立ちません。このような問題点が判明した以上、本作の劇場公開は適切ではないと判断し、劇場公開を取りやめる決断を致しました。

事実確認が遅かったのではないかと指摘されれば、その通りです。医療の専門家でない立場で、難しい分野の映画を取り扱うにあたり、それなりのリサーチはしておりましたが、足りませんでした。予め本件の事実関係をもっと早く知っていれば、公開直前での中止にはなりませんでした。その点悔やまれますが、弊社として、出来ることは直前とはなりましたが、劇場公開を中止させていただくことでした。

以上が映画『MMRワクチン告発』の劇場公開を中止させていただく経緯と理由になります。本作の急な公開中止に伴い、関係者の皆様には多大なご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます。今後、同じようなことが二度と起きないよう、公開判断前に十分検証に努めてまいります。

最後に、弊社は本映画の配給そのものから手を引き、速やかに制作元との契約を解除致しますが、本作公開中止になった上記理由を説明する機会を作るためにも、実施を予定していたジャパンプレミア上映会につきましては、劇場公開を前提としたジャパンプレミアではなく、一度限りの上映会として11月12日(月)に実施させていただく考えです。なお、上映会の趣旨が変わりましたので、試写会プレゼント企画につきましては、中止させて頂きます。一部直接お声がけしたご招待の皆様を除き、有料チケットの販売のみで実施させて頂きます。なお、流動的ではありますが、映画プロデューサーのデル・ビッグツリーさんは予定通り来日し、映画上映後に講演する予定です。この場で、多くの疑義につきまして、弊社としても問いたいと考えております。以上、上記上映会を実施することについてご理解賜りますと幸いです。

2018年11月7日(水)
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役 関根健次