2020年8月に最終回を迎えた特撮テレビドラマ『仮面ライダーゼロワン』の"その後"を描く映画『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』が、『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』との同時上映で2020年12月18日より全国劇場にて公開されている。

高橋文哉(たかはし・ふみや)2001年生まれ。埼玉県出身。2019年、令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』の主演・飛電或人役に抜擢。その後、テレビドラマ『先生を消す方程式。』(2020年)藤原刀矢役で出演。2020年、自身初の1st写真集「架け橋」(ワニブックス )が12月26日に発売される。2021年1月7日(木)よりMBS、tvkほかにて放送スタートのドラマ特区『夢中さ、きみに。』にて二階堂役で出演が決定している。撮影:大門徹

平成仮面ライダー20作目『仮面ライダージオウ』(2018年)に続いて製作された『仮面ライダーゼロワン』(2019年-2020年)は、元号が「令和」と定められた最初の「仮面ライダー」シリーズである。人類の滅亡を目論む敵・滅亡迅雷.netにより暴走させられた人工知能(AI)搭載人間型ロボット・ヒューマギアを止めるため、飛電インテリジェンスの若き社長・飛電或人が変身ベルト「飛電ゼロワンドライバー」に「プログライズキー」を装填し、変身した姿、それが仮面ライダーゼロワンである。

『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』は、本来テレビシリーズ放映中の2020年夏に公開される予定で製作が進められていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で製作スケジュールが例年よりも遅れたため、テレビシリーズが最終回を迎えた後に改めて脚本を練り直し、「最終回の"その後"」の時間軸でストーリーが展開することになったという。

「楽園を創造する」と語る謎の男エス/仮面ライダーエデン(演:伊藤英明)は無数の信者とともに、世界中で大規模な同時多発テロを引き起こした。世界が大混乱に陥る中、エスを止めようとして戦いの場へと赴く者たちがいた。それが飛電或人をはじめとする「仮面ライダー」たちであった……。

映画の公開を記念し、マイナビニュースでは『仮面ライダーゼロワン』で飛電或人を演じた高橋文哉への単独インタビューを敢行。ヒューマギアと人間との"架け橋"になるべく奔走し、皆が心の底から笑える世の中を作る"夢"に向って突き進んできた或人と共に歩んだ1年間をふりかえると同時に、『仮面ライダーゼロワン』の集大成といえる映画にかける強い意気込み、そして今まさに俳優として羽ばたいていこうとする高橋の"未来への目標"を語ってもらった。

――まずはじめに『仮面ライダーゼロワン』最終回の撮影を終えたときのお気持ちから聞かせてください。

オールアップした瞬間、杉原輝昭監督が花束を持ってきてくださいました。そして1年間お世話になったスタッフのみなさんが拍手してくれて、共演者のみんなも来てくれて……そんな光景がすごくうれしくて、もうボロ泣きしてしまいました。家に帰ってから、あれは"何泣き"だったんだろう?って思ったんです。うれし泣きなのか、終わるのが寂しくて泣いたのか……、いろんな感情が混在しながら、最終回を迎えることができました。

――最終展開の第42~45話では、イズ(演:鶴嶋乃愛)を失った或人から明るい笑顔が消え失せ、衛星アークの"悪意"にとり込まれたまま仮面ライダー滅/滅(演:砂川脩弥)と戦うなど、悲痛なストーリーが強烈な印象を残しました。最終回での高橋さん、砂川さんの"対決"シーンは観ていて息を飲む迫力がありましたね。

すべてが終わった今だから笑って話せますけど、あの撮影のときは本当に大変でした。何より、スタッフさんが一番大変だったと思います。僕たち2人の気持ちを途切れさせないために、対決シーンは最初から最後まで"通し"で撮影してくださいってお願いしたんです。スタッフさんとしては、それをやるとなるとすごく時間も手間もかかるのですが、それでも、僕たちの要求を快く受けてくださり、僕らの"本気の芝居"が見たいとまで言ってもらえて、さらには終わったあと「いいね!」と声をかけてくださった。あの対決シーンを撮ったときは、本当にこの現場で1年間お芝居をさせていただいて、幸せだったなと思いましたね。

――1年にわたる『ゼロワン』の物語で、視聴者に一番"伝えたかったこと"とは何だと思われますか?

「夢」だと思います。最後の或人と滅とのぶつかりあいの場でも、お互いの夢や心のありようを語っていますし、不破諫(演:岡田龍太郎)も「俺の夢は仮面ライダーだ」と言いますし。『ゼロワン』の中で僕がすごく印象に残っているのは、登場する仮面ライダーがすべて、自分が仮面ライダーであるための理由や戦う目的を言葉にして発信しているところなんです。「人とヒューマギアが一緒に笑える未来のために戦う、それが仮面ライダーゼロワンだ!」(第25話)とか……。ヒーローとしての強さ、カッコよさだけでなく、子どもたちに「"夢"とはこういうものなんだよ」と、お話を通じて伝える、教えるような番組になっていたとしたら、演じさせていただいた僕としても幸せに思います。『仮面ライダーゼロワン』を観て、僕も仮面ライダーになりたい、と思ってくれる子どもがひとりでもいてほしいですし、どんなことでもいいですから何らかの"夢"や"目標"を持って日々を過ごしてほしいと思いながら或人を演じました。そういったメッセージが少しでも伝わっていれば、とてもうれしく思います。