スーダンで戦闘拡大、民間人97人死亡 「長期内戦の恐れ」指摘も

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遠藤雄司=ヨハネスブルク 清宮涼 聞き手・遠藤雄司
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 アフリカ北東部スーダンの国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の間で起きている戦闘で、ロイター通信は17日、医療団体の情報として民間人の死者が計97人に上ったと報じた。国連世界食糧計画(WFP)はスーダン西部で職員3人が戦闘に巻き込まれ死亡したとして、当面の活動停止を発表した。戦闘は国内各地で起きており、被害がさらに広がる恐れがある。

 スーダンでは2021年10月、国軍トップのブルハン氏がクーデターを実行。民政移管の先行きが不透明になったが、昨年12月に民政移管に向けた枠組みで民主派勢力と合意し、今年に入り、協議は最終段階を迎えつつあった。

 だが、議題の一つであるRSFの国軍への統合をめぐり両者の対立が激化。15日朝から首都ハルツームを含む各地で激しい戦闘が始まった。銃撃戦や砲撃戦に加え、国軍による空爆も行われており、民間人が巻き添えになっている模様だ。双方ともに相手が先に攻撃を仕掛けたと非難している。

 RSF側は声明やツイッターへの投稿で、ハルツームにある大統領府や国際空港のほか、北部のメロウェ空港とそこにいたスーダンとエジプトの両空軍も制圧したなどと主張。一方、現地メディアによると、国軍側はすべての空港が支配下にあると反論し、逆にハルツーム近郊や地方にあるRSFの拠点を制圧したと訴えるなど情報戦も過熱している。

 世界保健機関(WHO)は16日、両者の緊張が高まっていた13日以降の死者が83人、負傷者が1126人に上ると発表した。

米英も「深い懸念」 停戦求める各国

 国際社会からは即時停戦を求める声が相次ぐ。

 長野県軽井沢町で開催中の主要7カ国(G7)外相会合に出席している米国のブリンケン国務長官と英国のクレバリー外相は17日、「深い懸念」を表明。ブリンケン氏は各国とスーダン情勢を協議しているとし、「戦闘が続き、市民に脅威をもたらしている。深い懸念を共有している」と述べた。

 国連のグテーレス事務総長も15日、戦闘を「強く非難する」との声明を発表。アフリカ連合やロシア、スーダンを長年支援してきたサウジアラビアなどアラブ諸国も懸念を表明した。

RSFの前身、ダルフール紛争で組織化

 国軍と激しい戦闘を繰り広げているRSFとは、どんな組織なのか。

 RSFの前身は「ジャンジャ…

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