イスラエル(ネタニヤフ政権)の蛮行が止まりません。
ハマスは6日、「仲介国エジプトやカタールによる3段階の休戦案の受け入れを表明」(8日付京都新聞=共同)しましたが、イスラエルがこれを拒否しました。ネタニヤフ首相は9日、「あらゆる手段で戦う」と改めて表明しました。
この間もイスラエルによるガザ攻撃(ジェノサイド)は続けられました。ガザ保健当局によると、攻撃開始からのガザの死者は3万4904人に上っています(9日現在)。
米バイデン大統領はイスラエルへの武器支援をやめるとイスラエルに圧力をかけていると報じられていますが、「カービー米大統領補佐官は…「イスラエルは自衛に必要な武器の大部分を受け取り続けている」とし、米国の武器の供与は続いていると説明」(10日付京都新聞夕刊=共同)しています。
アメリカはイスラエルを軍事支援し続けており、イスラエルの蛮行はアメリカの後ろ盾があるから終わらないのです。
日本はどうか。日本はもちろん軍事支援は出来ません。しかし、別の面でイスラエルを支援し続けています。その端的な表れが、大阪・関西万博へのイスラエルの正式参加を容認したことと、8月6日の広島「平和記念式典」にイスラエルを招待すること決めたことです。
イスラエルの「万博」参加について、上川陽子外相は4月5日の記者会見で、ロシアとの整合性を問われこう答えました。
「ガザにおけるイスラエルの行動は、ハマス等によるイスラエル領内へのテロ攻撃を直接のきっかけとするものであり、ロシアが一方的にウクライナに侵攻している行動と同列に扱うことは適当ではない」(外務省HP、写真中)
今回の事態の起点を「2023・10・7」(ハマスによる攻撃)に求めるのは歴史の経過を無視する誤りであることは、多くの識者が指摘しています。日本政府のダブルスタンダードは明らかです。
「万博」のテーマは「いのち輝く未来社会のデッサン」。ガザの人びと・子どもたちの命を奪って全く意に介さないイスラエルを参加させて「いのち輝く」とは開いた口がふさがりません。
一方、広島市(松井一実市長=写真右)は4月17日、「招待することで、平和の発信につなげたい」という言い分でイスラエル招待を発表しました(4月17日付朝日新聞デジタル)。ロシアとベラルーシは今年も招待しません。
広島市の決定について、三牧聖子・同志社大大学院准教授はこう指摘します。
「「いのち輝く」を理念とする大阪・関西万博へのイスラエル参加に続き、なし崩し的な判断を続けていれば、日本が語る「平和」や「非核」の普遍性や、日本の人権感覚は深刻に問われていくことになるだろう。「世界」は決して(イスラエルを支持する)欧米先進国だけで構成されているわけではない」(4月18日付朝日新聞デジタル)
ジェノサイドを続けるイスラエルに対してどういう姿勢をとるか。それはまさに日本の、日本人の人権感覚の試金石です。