主な公的な海外展開支援機関では、現在どのような支援のメニューがあるのであろうか。公的な支援機関の
状況について概観する 22。
日本貿易振興機構(ジェトロ)
ジェトロは、我が国の貿易を総合的に振興するために、1958 年に特殊法人として設立され、2003 年に独立
行政法人として新たなスタートを切った。世界各国及び日本各地の事務所のネットワークがあり、貿易・投資
振興及び地域・開発研究の総合機関として活動している。現在、国内 37 事業所、海外 55 か国 73 事業所を持っ
ており、国内 877 名、海外 700 名の職員がいる(2014 年 1 月 1 日時点)。
ジェトロは、これらのネットワークを生かした情報提供に強みがあり、個別企業の相談対応を国内・海外で
行うほか、各国の貿易制度や投資コストなどをウェブサイトに無料で公開したり、貿易実務や国・産業別の市
場動向に関するセミナーなどを各地で行ったりしている。また、世界各地の見本市への出展支援、海外バイヤー
を招いた商談会や引き合い案件データベースによる取引先の開拓支援、海外進出に向けたミッション派遣やレ
ンタルオフィスの貸与なども行っている。
■具体的な支援の例
○海外経済・貿易情報の提供(海外情報ファイル、セミナー・講演会等)
○貿易・投資にかかる相談受付(貿易投資相談、海外ブリーフィング等)
○海外取引先の開拓支援(見本市・展示会、引き合い案件データベース)
○海外進出の実現支援(海外レンタルオフィスの貸与等)
■近年の新たな取組~専門家による新興国進出個別支援サービス~
新興国進出に取り組もうとする中堅・中小企業に対して、経験豊富なジェトロの専門家 165 名(企業 OB・
現役シニア等)が、海外進出に向けたステップに応じてハンズオンで 2015 年 3 月まで支援を実施。企業は無
料で支援を受けることができる(渡航費、現地宿泊費等は負担が必要。)。2013 年 4 月から開始し、701 社の
企業に対して支援を実施している(2014 年 2 月時点)。
詳細は、「サービスガイド(専門家による新興国進出個別支援サービス)」(http://www.jetro.go.jp/services/
expert/)を参照。
中小企業基盤整備機構
中小企業基盤整備機構は、中小企業総合事業団、地域振興整備公団、産業基盤整備基金という三つの法人を
引継ぎ、2004 年に設立された。中小企業の事業活動の活性化のための基盤を整備することを目的に、創業か
ら新事業展開、経営基盤の強化、事業再生までのライフステージに合わせた支援体制を整える。そのような国
内での経営指導の一環として、海外への販路開拓や投資を目指す事業者への国際化支援を行っている。国内
10 か所に拠点があり、常駐している海外展開支援のアドバイザーは 64 名(登録しているアドバイザーは 429
名)が所属している。主要な支援業務は、以下の通りである。