社会

クルーズ船 新たに39人と検疫官1人感染確認 入院の4人重症

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船で、新たに乗客・乗員39人と検疫官1人の感染が確認されました。また、11日までに感染が確認された人の中で、症状が重い人が4人いて、このうち2人が集中治療室で治療を受けているということです。
厚生労働省によりますと、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で、新たに53人の検査を実施した結果、乗客29人と乗員10人の合わせて39人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。

この中には、10代の女性も含まれ、クルーズ船で10代の人の感染が確認されたのは初めてです。また、日本人は10人いるということです。

これで感染が確認された乗客と乗員は合わせて174人となり、厚生労働省が順次、医療機関に搬送しています。

さらに、船内で検疫を行っていた50代の男性検疫官1人も感染が確認されました。検疫官はクルーズ船が横浜港沖に停泊していた今月3日の夜から4日の夜にかけて、乗客から質問票を回収したり、体温を測定したりしていて、客室に立ち入ることもあったということです。

検疫官は医療用のマスクや手袋を着用していた一方で、防護服やゴーグルなどは着用していませんでした。これについて厚生労働省は、WHO=世界保健機関の指針に基づく対応だったとしています。

厚生労働省によりますと当時、船内の検疫は今月3日がおよそ30人、4日はおよそ60人で行っていたということです。

検疫官は船内での検疫のあと、今月5日から7日まで検疫所で通常勤務を行ったあと、9日に発熱し、10日、医療機関を受診してウイルス検査を受けたということです。

また、11日までに感染が確認され搬送された人のうち、症状が重い人が4人いて、このうち、集中治療室に入っている人が2人、人工呼吸器を使うなど呼吸管理を行っている人が2人いるということです。

重い症状の人のうち、3人は日本人で60代の男性が1人、70代の男性が2人いて、もう1人は外国籍の70代の男性だということです。

さらに、体調が悪化してクルーズ船から搬送された外国籍の60代の男性も症状が重く、集中治療室で治療を受けていますが、ウイルスに感染しているかどうかはわかっていません。

国内で感染が確認されたのはクルーズ船の174人、検疫官1人、チャーター機の12人、それ以外の観光客などが16人の合わせて203人となりました。

乗客 薬届くも「いつまで持つか不安」

「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客に12日午後、電話で取材すると、持病の薬などは手元に届き始めたものの、船室で待機する時間が長引き、体調などに不安を感じていると話していました。

小柳剛さん(72)は10日、高血圧などの持病の薬が届き、船内で薬剤師とやり取りができるようになったということです。

小柳さんは「室内だけで過ごす日が長引き、だるさを感じてきています。あと10日近く、この生活が続くが、いつまで持つか不安です」と話していました。

また、岡村吉雄さん(74)は、一緒に乗船する68歳の妻が11日の晩から発熱し、12日午前、医務室に連絡を入れたものの、午後になっても診察が受けられないということです。

岡村さんは「医療チームが船内に入ってきているという話は聞いている。ただのかぜかもしれないが、コロナウイルスかもしれないと不安なので、早く診察に来てほしい」と話していました。

官房長官「全員検査は状況見極め判断」

菅官房長官は、午後の記者会見で、集団感染が確認されているクルーズ船の乗客と乗員へのウイルス検査について、「今月18日までには1日1000件を超える検査能力を確保できる予定だ。現在、乗員・乗客の健康確保に最大限配慮しつつ、優先的に対応すべき人からウイルス検査を進めており、全員に検査を行うかどうかは、検査能力の確保の状況などを見極めながら判断していきたい」と述べました。

また菅官房長官は、品薄状態にあるマスクについて、「生産・流通状況をきめ細かく把握しつつ、できるだけ早く品切れが緩和されるよう官民連携して取り組んでいきたい」と述べ、マスクが増産され、品薄が解消されるのは、来週以降になるという見通しを示しました。

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